名古屋高等裁判所 昭和43年(ネ)813号 判決 1969年3月06日
主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実
控訴代理人は「原判決を取消す。被控訴人の請求を棄却する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴人は控訴棄却の判決を求めた。
当事者双方の事実上の陳述、証拠の提出、援用、書証の認否は左記のほか、原判決事実摘示のとおりであるから、ここに、これを引用する(但し、原判決二枚目表三行目に「二月」とあるを「一一月」に、四枚目表物件目録の二、に「二重張タンス」とあるを「三重張タンス」に各訂正する)。
控訴代理人の陳述
原判決添付目録記載の物件(以下本件物件と称する)は小林武雄の所有に属するものであるところ、同人は昭和四三年五月一日午前一〇時名古屋地方裁判所において破産宣告をうけたので、本件物件は破産財団に属する財産となり、控訴人が本件物件に対してなした仮差押(以下本件仮差押と称する)はその効力を失つたのであるから、本件仮差押の執行不許を求める本訴請求はその対象を欠き失当である。
被控訴人の陳述
右控訴人主張の事実中、小林武雄が控訴人主張のとおり破産宣告をうけたことは認めるが、その余の事実および法律上の主張はすべて争う。
理由
当裁判所の審理判断によつても、被控訴人の本訴請求は正当であると認められ、その理由は、左記に附加するほか、原判決がその「理由」の項に説示しているところと同一であるから、ここに、これを引用する。
小林武雄が昭和四三年五月一日午前一〇時名古屋地方裁判所において破産宣告をうけたことは当事者間に争いのないところであるが、そもそも、本件物件は被控訴人が買受け所有するものであることは、前記認定(右引用にかかる原判決の認定)のとおりであるから、小林が破産宣告をうけたからといつて、これがため、本件物件が破産法第七〇条所定の破産財団に属する財産となる筋合のものではない。
してみると、控訴人の主張はその理由のないことが明らかである。
よつて、これと同趣旨に出た原判決は相当であつて、本件控訴は理由がないから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第九五条、第八九条を適用し、主文のとおり判決する。